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第4章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *豊臣秀吉ルート*
「お…おい、ハナっ?どうしたんだ突然!?」
「―――…っ知らない!秀吉さんの馬鹿!」
止めどなく流れる涙が、拭っても拭ってもハナの頬を伝い落ちていく。
涙の理由もわからず、秀吉は途方に暮れてその小さな肩を抱き寄せた。
ハナはその手を払うことはせず、されるがままに秀吉の胸に顔を埋め、泣き続けた。
「これは……俺が悪い、のか?」
「―――…だから、知らないってば」
埒が明かない。
秀吉は小さく溜息をついた。
「やれやれ……困った妹だな」
その言葉が、ハナの中で鈍く響いた。
「……秀吉さん、私はいつまで妹でいたらいい?」
腕の中、ハナが涙に震える声で、呟いた。
「私が信長様の物であることが、秀吉さんの”義”になるの?」
「…どうしたんだ、ハナ?」
ハナの言葉に、秀吉が目を瞬かせる。
しかし、応える声は我ながら白々しいと、秀吉にはわかっていた。
「私は誰のものでもないよ……秀吉さんの妹でもない!」
「―――…ハナ、やめろ」
ハナの叫びが、秀吉の胸を深く抉る。
それでも、秀吉は固く目を閉じ、ハナから顔を逸らす。
「やめてくれ……俺はこの身を、御館様のために捧げると誓ったんだ。お前は御館様の寵姫だ。なら俺は―――…」
「信長様は”忠義を尽くせ”なんて書いてない!!―――…”義を示せ”だよ、秀吉さん!」
秀吉は、はっとしてハナを見た。
ハナが秀吉の羽織を両手で握りしめ、濡れた瞳で見上げていた。
「私が秀吉さんの”妹”でいるのが道理だっていうんなら、私も秀吉さんのこと”お兄様”って呼ぶからねっ?」
あまりにいじらしい、ハナの抵抗。
”それもいいか”と思ってしまった自分に苦笑してしまう。