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第4章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *豊臣秀吉ルート*
「いいぞ、呼んでみろ」
「―――…っ!?」
秀吉の言葉を、ハナがどう受け取ったかは一目瞭然で。
一瞬にして瞳の光が消え失せ、再び涙が溢れてきた。
「……ひどい、よ、秀吉さん…」
「一度だけでいい。呼べ……ハナ」
秀吉の真剣な眼差しに、ハナは俯き唇を噛み締めた。
「―――…お兄、様」
耳元で、ふっと秀吉が笑う声がした。
(こんなこと、望んだわけじゃなかったのに……っ)
ハナの心を後悔の念が埋め尽くし、体の力が抜けていく。
羽織を握りしめていた手が緩み、下へと滑り落ちていく。
しかし、その手は秀吉の手にぐっと掴まれた。
ハナがのろのろと顔を上げると、秀吉が痛みを堪えるような瞳でハナを見下ろしていた。
「悪い……意地の悪いこと、言ったよな」
「……うん、秀吉さんはひどい人だよ」
ハナの頬を、秀吉の大きな手が優しく包み込んだ。
「お前は、俺に妹と言われるたんびに―――…こんな思いをしていたんだな」
「秀吉さん…?」
頬を流れる涙を、秀吉の手が拭い取る。
「お前に諭される日が来るとは思わなかった……聡い女だよ、お前は」
「聡い妹、でしょ?」
「いいや、それはやめにする。…お兄様、か。さすがに、堪えた」
秀吉の手が優しくハナの背をなぞる。
その刺激に、ハナの背筋がぞくぞく震えた。
「お前の言うとおりだ……俺は何を、思い違いをしていたんだろうな…」
「秀吉さん…」
秀吉の瞳が熱を孕み、ハナを見つめた。
真剣な眼差しから、その熱がハナにも燃え移るかのようだった。
「―――…今から、俺の義を通す」
秀吉の顔が、ぐっとハナの顔に近づけられる。
二人の唇が触れ合う直前、秀吉がそっと囁いた。
「お前が好きだ―――…ハナ」