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第4章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *豊臣秀吉ルート*
あるはずもない、信長の声が耳の奥で響いた。
先ほどまでハナに感じていた躰の疼きを見透かされているようで、薄ら寒い心地がする。
「…真の、義を示せ…だな」
「ぎ…?正義の義?…どういう意味なの?」
「義っていうのは―――…」
『 義 』
―――…この世の道理。それに則った行い…
ハナに説明してやりながら、その実、己の言葉が秀吉の心の臓を切り刻む。
「…秀吉さん、私はどうしたらいい?」
「そう、だな…」
その頬に手を添えてやると、ハナはその瞳を瞬かせた。
頬を上気させ、困ったように秀吉を見つめていたが、やがて気持ちよさそうに秀吉の手に頬をすり寄せてきた。
その様を秀吉は愛し気に見つめる。
「何もしなくていい。お前はそのままでいろ」
「そうなの?」
「あぁ、お前はそのまま……御館様のお気に入りで―――…俺にとっては可愛い妹でいて、俺に世話を焼かれていればいい」
それが、二人にとって最善の距離なのだと、秀吉は信じていた。
ハナが泣くとは、思わなかった。