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第23章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾肆-
「…起こして、しまいましたか?」
胸から顔は上げないままに、ハナが呟くと、その後頭を温かな手が優しく撫でた。
「そうだな…いつの間にか、眠っていたようだ。お前の体温は、不思議と落ち着く…」
そういう光秀の声は、少し掠れて、甘い眠気を宿していた。
初めて聞く、光秀の寝起きの声。
ハナの耳に、鼓動が煩く響いた。
微睡んでいるのだろうか。
ハナの髪を撫でる手はそのままに、光秀の声はそこで途絶えた。
心地よい光秀の体温に、髪を撫でるその手の感触に、ハナもまた、言葉をなくして身を委ねていた。
しかし鼓動は、落ち着かないまま。
光秀の耳に届くような心地が、ハナの口を開かせた。
「光秀さん…聞いてもいいですか?」
「奇遇だな。俺もお前に聞きたいことがある」
そっと見上げると、黄金の瞳が意地悪な色を浮かべて見下ろしていた。
ハナの頬が、熱を上げる。
「……なんですか?」
せっかく上げた顔を再び光秀の胸へと戻し、ハナの声がもごもご籠った。
「それが一つではなくてな。お前の聞きたいことは目星がつくが、せっかくだ。お前の口から聞いてやりたい」
小さな笑いを含んだ光秀の声と指が、ハナの髪を優しく撫でる。
「ひとつずつ、互いに謎を解いていくのはどうだ?」