▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第23章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾肆-
髪を撫でるその手が、ハナの顎にそっと触れた。
上へと促すように、光秀の指がハナの顎を掬い上げた。
再び見上げ、黄金を瞳をそっと見つめた。
「まずは、お前の謎をひとつ、解いてやろう」
ハナの瞳が、しばらく思案気に揺れていたが、やがて静かに、言葉を紡いだ。
「…ここは、どこなんでしょうか?」
目を覚まして見えた部屋の中は、明るく、落ち着いた佇まいをしていた。
床の間には掛け軸が掛けられて、大輪の花を生けた花瓶が飾られていた。
部屋の中に家具は少なく、どこか生活の匂いが感じられない。
安土城とも光秀の御殿とも、雰囲気を異にしていた。
何より先に聞きたいことは別ある。
しかし、その答えを聞くことがどこか怖ろしく、ひとまず無難な質問を投げてみた。
そんなハナの心中などお見通しというように、光秀の瞳が意地悪く微笑む。
「少なくとも、地獄ではないから安心しろ」
「じゃあ、極楽浄土でしょうか…」
半ば本気で呟いたハナの一言に、光秀の吹き出す笑い声がした。
「安心しろ…生きている」
ハナの手を取り、光秀は自分の心臓の上へと触れさせた。
その手に、確かな鼓動が響いた。
ハナの耳に、自身の鼓動も、さらに響いた。