▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第21章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾弐-
「…言い忘れましたけど。今回の件で、紅蜜華は全て、使い切りました」
付き合いきれない…とでも言わんばかりに、投げやりに家康が言う。
「…光秀さん…どういう、ことですか?」
光秀の背に隠れ、ハナが戸惑う様子で、光秀を見た。
黄金色の瞳が、周囲をぐるりと見渡す。
やがて、深い溜息をついた。
「ハナ…」
「は、はい!」
光秀が、やおらハナに向き直る。
その鋭い視線に、ハナの背筋が緊張に伸びる。
「俺は大概、嘘をつく。言葉など、いくらでも繰ることができる故に……信用はないな」
「回りくどい…」
「政宗さんは黙ってください」
二人の小声は、ハナの耳には届かなかった。
ただ、きょとんと光秀を見つめていた。
どこか気まずい様子の光秀だったが、やがて、覚悟を決めたようにハナの瞳を見つめていった。
「…許せよ?」
言うなり、光秀の腕がハナの肩を掴んで引き寄せた。
「―――…えっ?」
ハナの、紅蜜華に濡れたその首筋を。
光秀の舌が、ペロリと舐めた。
「―――…っな、にするんですか!?」
ハナの腕が精一杯に伸びて、光秀の胸を押しやる。
その指が、光秀の胸元に触れた。
―――ドクンッ
「―――…くっ…ぁ」
「…え…っ?」
途端に、光秀の頬に紅が差し、苦し気に呼吸を乱れさせた。
そして立ち上る―――…甘い、華の蜜の香り。
ハナの躰に溶け込んで、内から熱を昂らせていく。
「―――っ光秀さ…ん…っこれ…っ」
見つめる光秀の瞳に、熱が篭る。
「これなら、鈍いお前の頭でも…わかるだろう?」
ハナの瞳に、涙が溢れる。
堪えるように瞳を閉じて、ゆっくり、光秀に頭を振った。
「…わか、りません…。だから、光秀さんの、言葉で…聴きたいです」
ハナの手が、光秀の腕へと縋る。
二人の瞳が、交差する。
吐息と共に、光秀の唇がハナの耳に、囁いた。
「…お前を、愛している…ということだ」