▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第21章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾弐-
紅玉の瞳が、二人を見ていた。
「…御館様…」
ぎりっ。
歯を食いしばり、光秀が睨む。
「此度の件、何故のお戯れにございますか…っ?」
「戯れか…貴様は阿呆か」
「は…っ?」
間の抜けた声が出る。
「貴様は俺の駒に過ぎん。その駒が、勝手に盤から降りることなど、俺が許さぬ」
「……っ」
応えず、光秀が苦し気に信長を睨む。
「俺からの命、しかと覚えておるであろうな?」
「…はっ…」
片膝を付き、光秀が静かにそこへなおった。
―… 己が 心のままに 生きよ …―
光秀の胸に、信長の言葉が過ぎていく。
「……月は、ただそこにあるものだ。故に、何も応えぬぞ」
静かに、光秀は信長を見た。
信長の声音が、不意に和らぐ。
「貴様の忠義…今一度ここで、示して見せよ」
―――此度こそ、違わずに。