▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第20章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾壱-
「…光秀さん、ダメ…っ」
「いいからその刀を寄越せ、小娘っ!」
あと一歩。
ハナの短刀に手が届く。
そう思った瞬間、光秀の体が、押し留められた。
「…家康、お前までっ!!」
「誰のせいでこんなことになってると思ってるんですか…」
己の体を正面から抑え込む家康に、光秀が悪態をつく。
「こんなことで片が付くものか…
っどけっ!!」
「けじめってもんがあるでしょう!」
上背でやや勝っていても、日々の鍛錬を怠らない家康の体は、おいそれとは離れない。
纏わりつく制御に、光秀の堪忍の限界が迫る。
「―…お前達だって、わかっているのだろうっ!!」
光秀が声を張り上げ、皆を睨めつける。
「この乱世を変えたいのだろうっ!!誰もが、等しく食える世を望むのだろう!!」
政宗の眼が、僅かに揺れる。
「強きも弱きも、等しく虐げられることのない世を望むのだろうっ!!」
秀吉、家康の眉間が歪む。
「戦のない世を、望むのだろうっ!!」
「…そうですね」
二振りの刀を抑制しながら、三成の唇が静かに呟く。
「全て、ハナが体現してきたことだろうっ!!この先の日の本に、お前達の望む世が来るという、確かな兆しがここにあるのだっ!!
―…俺の命ひとつ、くれてやるだけだ。
そんなことで叶うその兆しがな…っ!!」