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▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第20章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾壱-




相容れない信長の両腕が、一歩も譲らず火花を散らす。


「…信長様がお前への書状に認めたこと、その記憶すらも煙に消えたか」

光秀の、瞳が開く。

「…なぜ、お前が知っている…」

憎々し気に呟き、主君を見遣る。

信長からの書状を燃やし、白紙の物と入れ替えた。

秀吉が知っているということは即ち、信長も了解している事だろう。



だが、今は些末なことだ。



「尻拭いだ、扇動だと?…こんな小娘に、俺が誑かされたとでもいうのか…?」

暗く重い光秀の声が、静かに響く。

「随分と舐めた方便だ―…笑止っ!」

言うなり、片腕で二振りの刀をいなし、ハナの元へ駆けだした。

「駄目っ…やめてっ!!」

ハナの叫び声。
光秀の後ろから、鯉口を切る音がする。



―――しかし。



不意に、空気が変わる。
駆けながら振り返った光秀もまた、その光景に足が止まった。



刀に手をかけた政宗、秀吉の前に、三成が立ち塞がっていた。
石田正宗を水平に両手に掲げ、鯉口に手をかけていた。



「…三成…お前、なんで…っ!?」



秀吉の、怒りの霧散した声がした。

「秀吉様…お願いです。私にこれを抜かせないでください」

三成の声が、懇願する。

「三成…?」

光秀ですら、信じられぬ思いでその背を見つめていた。



「主君の本懐を汲んでこその忠臣、なのでしょう?私の主君は、秀吉様です。であれば、主君のために諫言するのが側近たる私の務め」



誰一人、微動だにしない。
再び三成の声が響いた。

「私は、この儀に納得がいきません。筋が通らない。なにより…秀吉様が、御苦しそうです」
「―――…っ!」

秀吉の、息を飲む音がする。

「お考え改めを…秀吉様。そして、光秀様…」



―――どうか、ハナ様を。





その声と共に、光秀の足が再度駆けた。




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