▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第19章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾-
「…怖い癖に、強がらないでよ…」
「怖くは、ないよ」
呼吸が乱れ、ハナが肩で息をするように言葉を紡ぐ。
「光秀さんを…助けてね。そのためなら、私…怖くはない」
ただ…と続ける。
「寂しい…かな。家康に…秀吉さん、政宗、三成くん…信長様…もう、会えなくなっちゃうね…」
苦し気に、吐息を漏らす。
嗚咽が漏れる。
堪えていた涙が、頬をすっと流れた。
「もう一度…光秀さんに、会い、たか…っ」
―――バーーーーーーーーーーーンッ!!!
その時、雨の音を切り裂いて、銃声が轟いた。
一同の眼が、ハナの入ってきた涅槃門へと向けられた。
俄かに、幕の外が騒がしくなる。
荒々しい、馬の蹄の音。
見張りの慌てる声。
騒がしいその最中に、ハナは一人の声を聴く。
ハナの鼓動が、ドクリ、と大きく脈打った。
「ハナっ!!!」
幕が大きく捲られ、飛び込むように。
ハナの名を叫びながら。
白銀に雨を滴らせ。
「―…っ光秀さん!!」
明智光秀が、今、辿り着いた。