• テキストサイズ

▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第19章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾-





手の震えは、止まらない。



しかしその手で、ハナは酒の入った盃を持つ。
一杯目を、四度に分けて飲み干した。

「家康…お願い」

無言のうちに、家康が再び、盃を満たす。
それも四度で、飲み下した。

椀を持ち、箸で口に湯漬けを流し込む。
体が拒んでなかなか飲み下すことができなかったが、時間をかけて飲み込んでいく。

そう多くもない膳を、時間をかけて平らげていく。
誰も急かすことなく、言葉を発することもなく。
ただ、雨の音だけが響いていた。



コトン。



ついに全てを飲み込み、空になった膳を家康が衝立の後ろへと引いていく。
次に現れた時、その手には三方が握られていた。
静かに、それをハナの前に置く。



三方の上には、刃の部分に白紙が紙縒で結ばれた短刀が光っていた。


/ 292ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp