▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第19章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -拾-
「光秀は有能な俺の駒だ。天下布武を成し遂げるため、まだまだ俺の側で力を振るわせねばならん。このようなことで失うにはあまりに惜しい男だ」
ハナの頭の中にあった不安と疑問が払拭されていく。
ようやく、点と点が繋がった。
「お待ちください…信長様っ!」
三成の切実な声が飛ぶ。
「確かに、あの噂が流れ始めたのはハナ様がいらしたあの本能寺の火事以来…ハナ様が噂の出元と見るのは可能ではあるかもしれませんが…っ」
「三成…控えろ」
「ですが、秀吉様…っ」
あの三成が、信長にも秀吉にも食い下がっている。
信長を支える基盤が、今ハナの目前でも揺らいでいた。
「三成くん…いいの、ありがとう」
「ハナ様っ!?」
ハナはふたたび、居住まいを正し、信長を、秀吉を、そして政宗を見た。
「私が、罪を認めれば…全部、丸く収まるんだね?」
頷く者は、誰もいない。
しかし、全ての瞳が、ハナを見ていた。
反らすものも、またいなかった。