▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第18章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -玖-
「信長様…」
もう一度、その名を呼んだ。
「これは…どういうことですか?」
「貴様のいるべき場所は、そこだ」
信長の手が、一点を指差した。
それは信長たちの正面、白い敷布の上だった。
「ハナ様…こちらへ」
三成が、そっとハナの肩を持ち、控えめに促した。
ハナは歯向かうこともせず、静かにそこへ座し、身支度を整えて再び信長を見た。
紅の瞳が鋭くハナを貫くが、ハナも負けじと睨み返した。
「良い目をしている…」
ふっと、信長の眼が笑う。
しかし次には、鋭い武将の瞳となって、厳かな声が辺りに響いた。
「これより、貴様に沙汰を言い渡す」
辺りの空気が、不意に薄くなったように、ハナの呼吸が切迫する。
息が、苦しい。
「ハナ…貴様は我が家臣、明智光秀を謀反人と仕立て上げ、その罪を着せ、俺とあやつを亡き者にしようとしたな――…」
「――なんですかそれっ!?」
「弁解ならば、あの世で致せ」
信長の氷の声が、ぴしゃりをハナの声を両断した。
「――…貴様に、切腹を命ずる」