▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第18章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -玖-
演習場。
時折、武将らの手合わせを披露する際に呼び出されては、圧倒され武将らにいいように揶揄われていた。
そんな場所に、いつの間に建てたのだろうか。
白い幕が引かれ、中の様子を隠していた。
その幕の一面に見張りの者が立っていた。
男は三成とハナの姿を見るや、一礼をして幕を開いた。
開かれた幕間を、ハナが三成の後について入る。
本当に、いつの間に用意したのだろうか。
中には畳が敷き詰められ、正面に白い衝立が立てられていた。
その前に、やはり白い敷布が敷かれていた。
「ほう…暢気な顔をしてやってくるかと思うておったが、悟るところもあったと見える」
威厳ある、重い声がその場に静かに響いた。
「信長様…」
声の方へ、ハナが顔を向ける。
見れば、衝立に向き合うような位置に床几に掛けた信長が、己の膝に頬付けをつきこちらを見ていた。
その後ろ、左右には秀吉と政宗が立っていた。
「秀吉さん…」
「ハナ……俺はっ――」
秀吉は何かを言いかけるが、しかし堪えるように口を閉ざした。
ただ、憐れむ瞳でハナを見ていた。
「政宗…?」
政宗はちらりとハナを見たきり、視線を合わせない。
ただ、その唇が何かを模る。
『 タ・エ・ロ 』
ハナの脳裏を、政宗の声が過った。
『 方法はある……覚悟があるなら、耐えろよ…ハナ 』
これが、光秀を救う方法だというのだろうか。
その真意を測りかね、政宗の顔をじっと見つけた。
政宗の顔が、僅かに頷いたように見えた。