▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第17章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -捌-
その肩越しに―――…視線を感じて、光秀は庭へと視線を向けた。
離れた庭先、緑の中から、三成が二人を見ていた。
光秀の視線を辿り、政宗も振り返る。
二人の視線を受けて、三成が僅かに俯き、頭を振った。
そして寂しげに、ハナに視線を流して見せた。
先程まで笑い声を上げていたその背中を見て、光秀の中の何かが揺れた。
ハナの背中が、動かない。
猫を抱きしめたまま、止まっていた。
「…聞こえたか?」
「いや…そうじゃない」
政宗の声が苦々しく呟いた。
「最近……気が付けばぼんやりしている。笑いもしねぇ…」
「聞こえていたろう。先ほどまで笑い声を上げて――…」
「いい加減にとぼけるな!」
苛立たし気に、政宗が吐き捨てる。
「お前があいつを――…殺したんだろうがっ」
「なに…?」
隻眼が光秀を睨めつける。
「――なぜあんなことをした!もうあいつは笑わねぇ…上辺だけの空っぽだ…あれじゃ、人形も同じだ」
光秀の視線は、政宗を通り越してハナの背中を見つめていた。
こちらの声が、聞こえているのかいないのか。
その背中はピクリとも動かない。
遠目に、三成が気づかわし気にハナに何かを語り掛けるが、ハナに届いていないのか。
やはり、その背中は止まっていた。
「俺に…関わらなければ良かったものを…」
その一言に、政宗の腕が光秀の胸倉を掴み上げた。
「惚れていたんだろうが!あいつにっ!あいつの笑顔にっ!!それをなぜ――」
「だから、どうにかしろと言っている!!!」