▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第17章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -捌-
その肩を、後ろから力任せに掴むものがいた。
そのまま、勢いよく光秀の肩を後ろへ引き寄せる。
次いで聞こえる、低い声。
「ちょっと面貸せ……光秀」
振り返れば、蒼く燃える瞳が睨めつけていた。
「政宗か…」
蒼い隻眼を怒りにぎらつかせて、政宗が光秀の肩を一層強く掴んだ。
政宗の後ろから、再び、ハナの笑い声がした。
ふっと、光秀の口元が笑みを浮かべる。
「ハナは元気にしているようだな…どうやら、体よく事は進んだ――っ」
――ダンッ!!!
「――ぐ…っ!!」
光秀の背と後頭部に、思いがけず衝撃が起きた。
喉から、呻くように声が洩れる。
政宗の腕が光秀の胸倉をつかみ、思い切り壁に叩きつけていた。
光秀の眼が痛みに歪んでうすらと開くと、唸るような政宗の声が光秀に噛みついた。
「言ってみろ……ハナに対する、あの仕打ちは何だ」
隻眼が、光秀を射抜く。
「あいつがお前に、何をした!!」
光秀の硝子の瞳が、静かに見返す。
あまりに凪いだ、光のない黄金の瞳に、政宗はますます嫌悪を露わに隻眼を鋭くする。
「わざわざ据え膳してやったのだろうが。素直に喜べ――」
――ガンッ!!
光秀の顔のすぐ横に、政宗が拳を叩きつけていた。
「黙れ、阿呆…」
静かな、政宗の声音――殺気が立ち上る。
「俺に抱けと縋るあいつの顔を――…お前は、想像できるか?」
「しかと、応えてやったのだろうな?」
「…てめぇっ」
「それだけの覚悟を、見たのだろう」
険しい二人の視線が、交差する。