▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第16章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -漆-
「わたしじゃ…だめ、なの?」
「…ハナ」
政宗の腕が再び、ハナの体をきつく抱きしめる。
その耳元で囁く声に…殺気が混じる。
「光秀の野郎…どうして欲しい?お前が望むなら今すぐ――」
「――だめっ!」
政宗の体を、ハナが驚くほどの力で抱きしめる。
「政宗お願い!私を抱い――っ」
「お前、自分が今どんな顔してるかわかってんのか!?」
政宗の手が、ハナの両頬を包み、無理やり上を向かせた。
目の前の蒼い隻眼が、ハナの瞳を覗き込んでいた。
正面から、二人は顔を見合わせた。
ハナの頬は、再び涙に濡れていた。
ハナの瞳の色に、政宗の声が力を失う。
「どうしちまったんだ…」
屈託なく笑うハナの顔が、政宗の脳裏を過ぎていく。
今、目の前にいるハナの瞳に、その光はない。
「そんな顔してまで…なんであいつの肩を持つ!」
「…ったい、の…」
ハナの沈んだ黒い瞳に、月光の様にか弱い光がきらめくのを、政宗は見た。
「それでも…光秀さんの側に居たいのっ」
ハナの言葉に、政宗は居たたまれず視線を逸らす。