▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第16章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -漆-
「…こりゃ…なんの茶番だ?くそ…っ」
光秀の去った障子を睨みつけ、政宗が独り言ちる。
ちらりと振り返れば、ハナは政宗に背を向けたまま、身なりをゆるゆる取り繕っていた。
そのまま、こちらを振り返らずに、音もなく静かに正座を取って背筋を伸ばした。
「…ハナ、どういうことなんだ?」
ハナの表情は、見えない。
しかし、政宗の呼び声に、顔を伏せる様子を見せる。
その肩が、震えていた。
「…光秀の野郎…っ」
「…政宗」
背を向けたまま、ハナが呼ぶ。
振り返ると、静かに再び立ち上がるところだった。
ゆっくり、こちらを振り返る。
「…ハナ…?」
ハナは、微笑んでいた。
ゆっくりと政宗に近づくと、白い両腕を政宗の首に巻き付けてきた。
「お願い…躰が、熱い、の…」
熱を上げた女特有の甘い香りがハナの躰から立ち上り、政宗を包む。
「…私を…抱いて…」
政宗の首にまとわりつき、その顔を首筋に埋めてくる。
ハナの熱い吐息が、政宗の首筋に掛かり、政宗の背筋を疼きが駆け上がっていった。
政宗は何かを念じるように強く瞳を閉じ、深く息を吐いた。
その腕が、ハナの腰を掴んで抱き寄せ、二人の体がぴったりと寄り添った。
しかし直後。
「…政宗、なんで…っ」
ハナは違和感に気付き、困惑の表情で政宗を見上げた。
「悪ぃな、ハナ…」
ハナの腰に、政宗が自身の腰を押し付けていた。
しかし、情欲の象徴となるモノは、力を失い身を潜めていた。