• テキストサイズ

▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第14章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -伍-






 ―― 甘イ 蜜ヲ アゲマショウ…



雑音がする。



 ―― オ代ハ アナタノ 甘イ 夢…



ハナを犯したあの夜から、昼となく夜となく、耳に響く鈴の声。
淡々とただ、耳に響く。



それがやたらに、心を蝕む。



躰が、独りでに熱を持つ。

手に、その柔肌の感触が蘇る。
耳に、その声がこだまする。



眼に、ハナの涙が映る。







なぜに、心が乱される。







『 貴方が 好きです… 』



傷ついた瞳のお前が、何を言う。


お前が絡むと、調子が狂う。


そんな顔を、させたかったわけではない。
ただ、お前が笑っていられるならと。



――それこそを、望んでいたはずなのに。



筆を手に取る。



紅蜜華に、唯一関わることのなかった男の顔を、思い浮かべる。
蒼い瞳の隻眼の男。



あの男なら、お前を満たすことができるだろうか。



部屋へと呼び出す文面を、すらすらと白紙の上に認めていく。
筆を走らせながら、自嘲する。
己に惚れた女に、他の男を宛がうなど…



全くもって、俺らしい。



書状を書き終え、筆を置く。
座椅子に深く背を預け、天を向いて瞳を閉じた。







――あぁ、月が見たい。







浮かぶのは、涙に濡れた顔ばかり…





/ 292ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp