▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第13章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -肆-
去っていく秀吉の背中を、光秀は複雑な思いで見送った。
計画としては、非常にまずい。
内部からの疑惑ほど、敵国にとって旨い餌はないというのに。
しかしながら、同時に、解れる思いも感じていた。
「光秀さん…」
ハナが、まっすぐこちらを見つめていた。
「しっかり、見定めてみました。これで、合ってますよね?」
「あの頑固者を説き伏せるとはな…」
思わず、苦笑が漏れる。
「……お前には、敵わんな…」
今度こそ、その頭を撫でてやる。
ハナの瞳からも、今度こそは思った通りに、涙が溢れる。
「…っみ、つひで…さんっ」
「……何を泣く?」
その涙を、指で掬ってやる。
それでは到底足りないほどに、ハナの頬を、涙が伝う。
――あぁ、愛しいな。
「――光秀、さんっ?」
気が付けば、両腕がハナの細い体を、抱き寄せていた。
胸深くに閉じ込める。
両腕にその柔らかなハナの体の感触を、胸に、ハナの温かな体温を感じた。
腕の中、ハナの体から、力が抜けていくのがわかる。
そして、小さくその肩を震わせて…。
「…ふっうぅ…っ」
声を堪えながらも、光秀の胸の中、ハナの泣き声がした。
――お前は…本当に、甘い。
どれだけ堪えていたのか、涙の止まらないハナの頭を、優しく撫でる。
もう片腕で、震える体を抱きしめる。
――お前のその声、その顔で…
何度その体を暴く夢想に溺れたのかも
知るまいに…
「……ハナ…」
できる限り、優しい声音で、名を呟いた。
胸の中、ぴくりと体を震わせて、濡れた瞳で、ハナがこちらを見上げる。
「…そんな甘い考えで、生きていける世が来るのだな…」
その頬に、手を添える。
温かく、濡れた感触が、心地よい。
触れた頬に、唇を寄せる。
掠る程度の口付けを、そこにそっと落としてやった。
「…んっ…」
体を固く、緊張させているのがわかる。
しかし、拒む様子はなく。
いくつも頬に唇を落とし、その耳元へ辿り着く。
「よく聞け……ハナ…」