▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第13章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -肆-
ばらけていた点と点が、繋がった。
――そうか…これが、お前の知る俺なのか。
『碌なことはしていないのだな』
――本当に、碌でもない。
かつて放った己の言葉に苦笑する。
光秀に遅れて秀吉も、ハナの様子に気付いて慌てて取り繕っていた。
「ハナ…悪い…やっぱりお前に、こんな話、するんじゃなかった……」
怯えさせたとでも、思ったのだろう。
ハナに向かって、兄貴面に戻って宥めすかしている様子を静かに眺めた。
光秀自身、ハナが泣き出すのではないかと思った。
それほどまでに、蒼褪めていたハナは、しかし思わぬ行動に出る。
「――違う、秀吉さん。光秀さんは、そんなことは絶対しない」
秀吉から守るように、光秀の前にハナが立って言い切った。
光秀からは、その表情は見て取れない。
しかし、秀吉の顔が、揺れていた。
「…ハナ、それは、俺もそう願いたいが…」
「秀吉さん…辛そうな顔してる。願いたいんじゃない。本当は、秀吉さんが一番、わかってるんでしょ?光秀さんが、信長様を裏切るはずがないってこと。私には、そう見える…」
「……ハナ…っ」
秀吉の顔が、再び苦痛の色を為した。
「秀吉さん……私も…光秀さんを信じたい」
秀吉は、しばらくハナを見つめていたが、目を閉じ、深く息を吐きだした。
「…少し、頭を冷やさせてくれ…。話はまた、それからだ」
「秀吉さん…」
「ありがとな、ハナ……俺も、少しどうかしていた」
秀吉の手が、ハナの頭を優しく撫でた。
それから、光秀を振り返った。
「光秀……逃げるなよ」