▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第13章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -肆-
「…秀吉さん?」
光秀の傍らで、ハナが名を呼ぶ。
ハナの姿に気付き、一瞬、秀吉の表情が驚嘆に変わった。
「ハナ…?お前まで、なんでこんな刻限に、こんな所で…」
小言を言いかけたその顔が、しかし思い出したかのように険しく変わり、光秀を睨みつけた。
ハナを見ずに、声だけかける。
「悪いが、少しこいつと話がある。外してくれないか、ハナ」
「秀吉さん……」
「久方ぶりに会ったというのに、お前の一言目はいつも小言か…」
「誰のせいだと思ってる!」
ハナは光秀と秀吉の間に挟まれて、小さな顔でオロオロと二人を見比べていた。
その視線が何かに気付き、下を向く。
握りしめた秀吉の拳が、小さく耐えるように震えている。
ハナは、はっきりとした口調で、拒否をした。
「秀吉さん、お願い!私も一緒に、話を聞かせて…」
「――ハナ?」
明らかに、秀吉の顔が狼狽する。
しかし、ハナも負けじと見返していた。
「私が場違いなのはわかってる!だけど…ごめんなさい、私も、光秀さんとお話がしたい!ずっと、そのために待ってたから…お願いします!ここにいさせて!」
ハナの言葉に、光秀も秀吉も目を見張る。
「こいつと…話を?」
「ほう…」
光秀の場違いなまでの楽し気な声音に、秀吉の目が再び剣呑の光を帯びる。
「なんだ、光秀…」
「いや…随分とハナの威勢が良くなったものだとな…」
どこか楽し気に笑みを浮かべ、光秀の手がハナの頭へと伸びる。
しかしその手がハナの髪へ触れる前に、秀吉の腕がそれを捕えた。
「あぁもういい!埒が明かねぇから、ハナも聞け…」
光秀が逃げ出すとでも思っているのか、その手をギリギリと握りつけ、秀吉が詰め寄った。
「城下で、お前の噂が流れている…
――お前が、信長様暗殺を謀った
黒幕だとな…っ!」