▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第11章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -弐-
「月が、お好きなんですね」
「…本懐を、見つめていただけだ」
そう呟くその一瞬、光秀の目が白銀に隠れた。
しかし、次にはハナを見つめて、にやりと笑った。
「お前は、俺に初めて見えた時、
怯えていたな?」
「…え?」
光秀と初めて出会った時のことを思い出していた。
信長を助けて、三成が現れて…
それから本陣に連れていかれて…
「…あ…」
思い出した。
『御館様、ご無事でしたか』
『光秀…?』
「あの時は…」
あの時は、史実の”明智光秀”を思い出していた。
必死で逃れたあの火事を起こした張本人なのではないかと。
「お前が500年後の未来から来たと聞いて、
合点がいった」
ぎくりと、ハナの体が揺れる。
光秀がまた、面白そうに小さく笑った。
「俺の名を聞いた途端に、あの反応だ…
どうやら、俺はお前の世にも名を
残していたらしいな?」
探るように、ハナの顔を覗き込む。
その黄金の瞳が、ハナを射抜く。
「俺は、一体何をした?」
「それは…言えません!」
叫ぶなり、盃の酒を一気にあおった。
喉の奥を焼きながら、酒精が一気に喉を下っていく。
「なかなか良い呑みっぷりだ」
光秀が再び、ハナに酌を施した。
「知れば歴史を変えてしまう、か?」
「…確かに、それもありますけど」
光秀の手から酒瓶を預かって、ハナのまた酌を返した。
ふぅ、と無意識に息が漏れた。