▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第11章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -弐-
光秀の指が、盃を口元へと運ぶ。
慣れた仕草で、一口くいっと酒をあおった。
そこへ酒を継ぎ足して、ハナは見惚れたように呟いた。
「光秀さん、お酒がお好きなんですね」
「味はわからん。水よりは多少、味がある程度だな」
ハナの手から酒瓶を預かり、光秀がそれをハナに翳す。
ハナもまた、盃を手にそれを受けた。
注がれた透明な液体を、少しだけ口に含む。
喉を抜ける酒精の後に、ほんのりとした酒の甘みが広がった。
「…美味しいっ!」
「そうらしいな」
光秀が、ハナの顔を見つめながら微笑んだ。
「お前の顔を見ていればわかる」
頬を紅く染めるハナを見つめ、光秀もまた、酒をあおった。
「…500年後の酒も、美味いのだろうな」
月を見つめ、光秀が呟いた。
その横顔を、ハナは驚いたように見つめた。
「その話、信じてくれるんですか?」
「嘘かどうか、それを暴くのは得意な方だ」
視線を戻し、光秀の口元がにやりと笑う。
「お前は怖ろしく、頭の中が顔に出る」
ハナが子どものように唇をとがらせると、光秀の面白がるような笑い声。
その声がくすぐったくて、頬が再び熱く火照る。
誤魔化すように盃にまた、口付けた。
「500年後も、美味しいですよ。海の向こうのお酒だって呑めるんです」
「ほう、味わってみたいものだ」
光秀の横顔を見上げる。
その視線はまた、月を見ていた。