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第8章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *織田信長ルート*
二人の視線が交差する。
無言の空間に、雨音が響く。
しかし、二人の間には言葉以上の心が通う。
信長はそっと、触れるだけの口付けをハナの口唇に落としてやった。
「やはり、貴様に涙は似合わん」
両の手でハナの頬を包み込み、ハナの口角をくっと引き上げる。
「――笑え。それが、俺の望みだ」
「望み…?」
「貴様が俺の物にならぬまでも、その腑抜けた笑みなら守ってやれると、自惚れた」
紅玉の瞳が、自嘲に歪む。
その瞳を見つめ、ハナの瞳から、再び涙が溢れ出す。
「笑えと言ったはずだ。何を泣く、この阿呆」
「阿呆は、どっちですか……」
その瞳から雫が流れるのも忘れたように、ハナがふわりと、笑みを見せた。
信長の表情にも、それが移る。
「貴様を差し出せといったが、その前に小事ができたな」
「信長様…?」
「毒抜きの時間だ……」