第8章 ▼華ニハ蜜ヲ△　＊織田信長ルート＊

「――やっ！？」



耳元で、ハナが息を飲む声がする。

しかし、どこか頭の奥に靄がかかったように判然とせず、心の求めるままに、その柔肌に舌を這わせた。
鎖骨の上にも舌を這わせ、口付けを落とせば、堪えるような吐息がハナの口元から漏れる。

きつく吸い付き、可憐な華をいくつも咲かせた。



――もっと、全てを俺に寄越せ…



信長の心の内が、さらに柔らかな肌を求める。

口付けを肌に落としながら、ゆるりとその手をハナの着物の袷へと滑らせる。
信長の指が袷にかけられて、引きちぎらんばかりに前を開けさせた。
途端に、目の前に豊かな双丘が零れ落ちた。

その頂は、濁りのない桜色に染まりながら、しかしぴんと張り詰めていた。

強い、華の蜜の香りが立ち上がっていた。



誘われるように、そこへ口付けを落とそうとした、その耳に。



「――ふっ…ぅ、く…」



愛しい女の、泣く声がした。
途端に、頭の霞が霧散した。

「…っふ、ぅ…っのぶ、ながさま…」

茜に照らされ、紅く上気した頬と瞳で、ハナが信長の腕の中で見上げていた。



…その細い体を震わせて。

信長を見つめるその表情に、紅玉の瞳がわずかに見開く。










その表情は……畏怖だった。