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第7章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *明智光秀ルート*
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湯船の中で、海月が漂うかのごとく、湯着が揺れる。
それをすくうように手を伸ばせば、湯着が軽く、手に絡む。
濡れて漂う生地の感触を感じながら、ハナの視界は、少し前の記憶へと遡っていった。
雨の中、濡れるに任せていた自分に傘を差し出す光秀。
そしてそれを受け取る自分。
抱きかかえられた時の、光秀の温もりを思い出すと、身体が火照る。
それは湯の温もりとは異なる物で。
光秀はどうだったのかと思いやる。
自分の身体は、冷たくはなかっただろうか。
―――トクン…
心臓が、一瞬だけ跳ね上がる。
頭の中で、警鐘が鳴り響く。
傘を受け取った時。
その柄は、ハナの手に押し付けてられてきた。
―――触れては、いない。
自分を抱き上げるときでさえ。
光秀の肌に触れた覚えが、ない。
さらに記憶が遡る。
早朝の、天主の廊下。
光秀の手は、ハナに触れることを、躊躇いはしていなかったか。
「―――…もしかして、光秀さん…知って…」
「俺が何を知っていると?」
「―――っ!?」
光秀の囁き声が、ハナの耳を擽った。
声もなく、ハナが後ろを振り返ると。
ハナの肩越しに、黄金色の瞳と目が合った。
白い湯着に身を包み、光秀が湯船の縁に腰掛けていた。