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第7章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *明智光秀ルート*
そこで初めて、光秀の表情に変化が生まれた。
素直に傘を翳すハナを見つめ、一瞬だけ、その瞳が優しく細められた。
ふっと小さな笑みをこぼす。
「いい子だ」
「――えっ、ちょっ…光秀さんっ!?」
言うなり、光秀は傘を持つハナを易々と横抱きにして立ち上がった。
光秀の胸深くに抱き寄せられ、ハナの冷えた体は、本能的に光秀の熱を欲していく。
その代価のように、光秀の白い羽織は雨に濡れたハナの着物の水分を吸い取っていく。
光秀はハナを抱えたまま、歩き出した。
「――っどこへ、行くんですか?」
「どこへ行くにしろ、その姿では話にならん。俺の御殿では、不満か?」
光秀の言葉に、ハナは一瞬、言葉に詰まる。
しかし、白い羽織にどんどん雨の沁みが広がっていく。
「光秀さん…っ降ろしてください…歩けます!」
「その足でか?悪いが、鼻緒を直すより抱えたほうが手っ取り早い」
「でも…光秀さんまで濡れてしまいますっ」
「もとよりこの雨だ。今更だな」
「私…泥だらけなんですよっ?光秀さんまで、汚れます!」
「それもまた、今更だ」