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第7章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *明智光秀ルート*
「……泣いていたのか?」
ハナに傘を翳し、光秀がその顔を覗き込む。
その瞳は、ちらりとも揺らがない。
ハナの胸に、小さな針がチクリと刺さる。
そう…この瞳。
広く果てなく見通すようなその瞳は、しかしハナの想いなど映さない。
冷たい雨が、今のハナにはひどく優しい。
頬の温かな雫を全て、流してくれた。
「…泣いてませんよ。雨が降ってきたから、慌ててしまって……鼻緒を切ってしまっただけです…」
光秀の視線が、ハナの全身を射貫くように見つめているのを感じ、知らず、体を固くする。
しかし――…
「小娘とばかり思っていたが…小童の誤りだったか」
「こわっ…!?それはっさすがにひどいと思いますっ!」
光秀はさも楽し気にハナを見ていた。
「…言い返す元気は出たか。そうでなければ、意地悪をする甲斐がない」
言うなり、傘の柄をハナの胸の前に突き出した。
「…え、と…?持てってこと、ですか?」
「それ以外に、何がある」
「…ないんですね。わかりました」
傘の柄に手を伸ばすと、ハナの掌に、光秀が傘の柄を押し付けてきた。
しっかり握り、光秀の頭上に傘を翳す。