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第7章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *明智光秀ルート*
――思考が乱れ、混濁とする。
三成や秀吉の役にも立てず。
書状を届ける、ただそれだけのことすらまともにできず。
「――…家康っ」
振り返ることなく、その腕を飛び出した。
「ごめ…な、さいっ…」
『――…光秀さんのこと、好きなんでしょ?』
「…ふっぅ…うっぅ…」
嗚咽が漏れる。
その願いは、禁忌だとわかっていたのに。
胸の奥底深くに閉じ込めていた想いが、家康の言葉によって溢れ出す。
やけに温かな雨の雫が、いくつも頬を伝い落ちていく。
温かいだけ、ハナの心が冷えていく。
切れた鼻緒に指をかけ、ハナはその場に蹲り、声を堪えて雨に打たれていた。
――…不意に、雨の音が遠のいた。
「――こんなところで、どうした…小娘?」
揶揄うような、低い声音がハナの頭上からかけられた。
はっとして、顔を上げる。
そこに、白銀の髪が見えた。
「光秀さん…っ」
黄金色の瞳を細め――…光秀がいつもの笑みを浮かべて、そこにいた。