第7章 ▼華ニハ蜜ヲ△　＊明智光秀ルート＊

何が、どうなったんだっけ…？



視界も、意識も、靄がかかって判然としない。

確か…家康の部屋の換気をしようと思って、障子を開けたんだった。

そしたら、中から甘い香りが……



――ハナ…



誰かが、名前を呼んでいる。
ぼんやりと声のする方へ顔を向けると、誰かの顔がこちらを見ていた。



――ハナ…



白銀の髪がさらさら揺れる。
黄金色の瞳を優しく細め、意地悪なその唇が微笑んでいる。

あぁ……今日は、小娘なんて揶揄わないで、名前で呼んでくれるんですね……



「光秀さん…」



今日は意地悪言わないんですね。

だったら私も、今日くらい……










――素直になっても、いいですか？