第9章 目指せ頂点
めちゃくちゃ不信感を抱きながらチアリーダーの服に着替える。応援合戦だなんて一言も聞いてないぞ。かと言ってもし本当だったら嫌だし。みんなでグチグチ言いながらチアリーダー服に着替え、時間を見計らってスタジアムへ移動する。
『……響香ちゃん』
「完全にやられたね」
「峰田さん、上鳴さん!騙しましたわね!?」
ご丁寧にポンポンまで創造してくれた百ちゃん。なんか…うん、どんまい。響香ちゃんは呆れたようにポンポンを投げ捨てるが、意外にも透ちゃんはノリノリだった。
午後はレクリエーションから始まり、その後に最終種目、総勢16名からなるトーナメントが行われる。1体1のガチバトルだ。
ミッドナイトが説明をしていると、尾白くんが手を挙げて辞退すると言い始めた。せっかく最終種目まで上がってきたのに、騎馬戦の記憶が曖昧で、よくわからないまま本線に出るのは嫌だと話した。それは彼のプライドが許さないのだ。同じようにもう一人棄権者が出る。主審であるミッドナイトは自身の好みでそれを許可した。なんとも自由な学校だ。代わりに他のチームから出場者が決まり、トーナメントのくじを引いた。
私の最初の相手は飯田くんだ。
「、トーナメント始まるまでチアしよ!」
『っと……え?』
後からガバッと肩を抱かれバランスを崩す。振り返ると綺麗な黒目と近距離で目が合った。
「だって暇だしさ~ね、麗日!」
「えっ、あ、うん。やろうよ、ちゃん!」
まあ、確かにトーナメントまで時間はあるし、体力温存のためにレクリエーションは控えたいし、せっかく百ちゃんが衣装を創造してくれたからやってもいいかな。レクリエーションに出るAクラスの人を応援したいのは変わらないし。
『うん、わかっ──』
「ざけんな。そんなもん出るじゃねえ」
『え~いいじゃん』
口を尖らせてブーブーと文句を言う。両手をポケットに入れたかっちゃんは相変わらずご機嫌ななめな様子だ。
「なんだよ爆豪。別にいいじゃんか!のチアを見れるチャンスだよ」
「うるせぇ黒目。お前らだけで勝手にやってろ」
そう言ってグラウンドから出ていこうとするかっちゃん。暫く歩いた後振り向いて私をじろりを睨んでくる。