第13章 学生の本業
何度も繰り返し同じ問題をしていくうちに、だんだんとテストに関する不安が軽減されていった。過程はともあれ、勝己と一緒に勉強できたのはかなり大きい。陽も傾き始めたので、そろそろおいとまさせてもらうことにした。
『ありがとね、勝己。なんだかんだ言って助かった!』
「あたりめえだ。俺だからな」
『うん、それはよくわかんないけど、ありがとう!』
「…じゃあな」
『ばいばい~』
大丈夫だと言い張ったけど、半ば強引に家まで送ってもらい、ひらひらと手を振り家の中に入る。今日はたくさん勉強して脳が疲れているので、甘いものでも食べてゆっくりすることに決めた。
「やっと付き合ったのかい?」
「はあっ!?」
を送り家に帰る。俺を見たクソババアの第一声はそれだった。心臓がドキリと跳ね上がったのはぜってえ気のせいだ。
「まだ付き合ってないの!?なにしてんの、早く言わないとあんないい子他に取られるよ!!」
「知らねえよ!つかてめぇは黙ってろ!!」
「今まで黙っててこんなんだから今言ってんでしょう!!」
「うるせえ!てめぇには関係ねえだろうがっ!!」
「あるに決まってんでしょ!なに馬鹿なこと言ってんの!!」
なんで親にいちいちそんなこと言われねえといけねえんだ。ああ言えばこう言うクソババアに舌打ちをして、2階にある自分の部屋へ向かった。
「………」
力強くドアを閉める。ドア越しにも聞こえるクソババアの声が鬱陶しい。
さっきまでがいた俺の部屋。今まで何度も呼んだことあったが、今までとはなにかが違う。ドサリと体をベッドに沈め、のことを考える。の匂い、柔らかい体、ぬくもり。それらを思い出すと顔が熱くなる。
─早く言わないとあんないい子他に取られるよ!!─
んな事言われなくてもわかってる。今までに近づいてきた野郎は片っ端からひねり潰してきた。下駄箱に入ってる手紙は全部爆発させたし、を呼び出した野郎は逆に俺が呼び出してやった。
最近、は半分野郎と仲がいい。を見る切島の目も違和感がある。早くどうにかしねえといけないのはわかってんだ。どうすればいいのかわかったら、こんなに苦しまねえで済むのに。