第9章 目指せ頂点
複製腕のなかから、ゆらりとこちらを見ている峰田くん。そうか、そういうこともありなのか。感心しているとなかから長い舌が飛び出してきた。どうやら、梅雨ちゃんも隠れているらしい。
『お茶子ちゃん、靴!』
「うん!」
急いで靴を脱げばブニブニから解放される。すぐ隣にはBクラスの騎馬がいる。もう一度離れよう。
『飛ぶよっ!』
なんとか障子チームとBクラスチームから離れることが出来た。わかってはいたけど、デクと組むといろんな人から狙われるんだ。常に頭を回転させて考えて行動しなきゃいけない。
『降りる──』
「調子乗ってんじゃねえぞクソが!なにと組んでんだデク!!」
1人どこからが飛んできたかっちゃん。騎馬に乗ってないけどこれはありなのかな。デクの言葉にダークシャドウが反応する。かっちゃんの爆破を防ぎ、かっちゃんは瀬呂くんのテープによって元の騎馬へ戻っていった。
« さあ残り時間半分を切ったぞ!»
「そろそろ奪るぞ」
かっちゃんの次は焦凍くんか。でも仕掛けてくるのは1組だけじゃない。轟チームに続いてくるほかの騎馬もいる。
百ちゃんの体から創造された布で自身を覆う焦凍くん。もしかして、と思い翼を広げて騎馬全体を覆う。羽の隙間から見えた眩い光。上鳴くんが放電したんだ。痛くはないけど翼がビリビリとする。
「ナイス!」
『うん…でも、ちょっと飛べそうにないかも』
それを知ってか、焦凍くんは逃げられないようにフィールドを凍らせた。これじゃあ走って逃げることは不可能だ。常闇くんのダークシャドウも上鳴くんの個性と分が悪い。ジリジリと迫り来る轟チームと距離を保ちつつ、時間切れを狙う。残り時間1分。
それは本当に一瞬だった。速すぎて何が起きたのか分からないほど。デクの額にハチマキはない。
「言ったろ緑谷くん、君に挑戦すると!」
「突っ込んで!」
「上鳴がいる以上攻めでは不利だ!他のポイントを狙いに行く方が堅実では…」
「ダメだ!ポイントの散り方を把握出来てない!ここしかない!!」
「よっしゃ!取り返そう、デクくん!絶対!!」
『デクなら大丈夫!!』
轟チームに向かってただひたすらに突っ走る。デクの右手にパパの力が宿り、危険を感じたのか焦凍くんは左手の個性を発動した。