第9章 目指せ頂点
かっちゃんと焦凍くんには悪いけど、こうしている間にもどんどんチームができてきている。ルール的にはこの人数でも問題ないが、もう一人欲しいところだ。
「飯田くん!僕らと組もう」
すぐ近くにいた飯田くんの元へ駆け寄り、作戦を話すと同時に勧誘をする。だが、飯田くんは既にほかの人とチームを組んでいるらしい。
「俺は君に挑戦する!」
そう言ってまだ言い争っている焦凍くんの方へ向かう飯田くん。そっか。焦凍くんたちと組んだんだ。飯田くんも飯田くんなりに本気でぶつかってくるつもりなんだ。
『もう一人どうする?』
「僕らの騎馬に足りない力…いや、がいるから、その力をさらに強化させるために…ブツブツブツブツ」
「デクくん大丈夫かな?」
『通常運転だね』
15分が経ち、いよいよ騎馬戦の始まりだ。
「!」
『うん!』
「麗日さん!」
「っはい!」
「常闇くん!」
「ああ」
「よろしく!!」
緑谷チーム総合ポイント10000500。スタートの合図と同時にやっぱりみんな狙うのはデクの額にあるものだ。いきなり2組の騎馬が向かってくる。
「追われし者の宿命…選択しろ緑谷!」
「もちろん!逃げの一手!」
常闇くんの無駄に格好いいセリフに思わずお茶子ちゃんと目が合う。デクの言葉にハッとなり逃げようとした時、地面がぐにゃりと歪んで足が沈み出した。
『みんなしっかり捕まってて!!』
翼を出して一気に羽ばたく。右後ろ騎馬だから左の翼を少し大きくすれば、バランスよく飛ぶことが出来る。お茶子ちゃんの個性のおかげで重量も一人分だ。
空へ回避した私たちを追って響香ちゃんのイヤホンジャックが飛んでくる。完全に死角だが、常闇くんのダークシャドウがそれ塞いでくれた。ダークシャドウ、可愛い。
「着地するよ!」
『わかった!』
お茶子ちゃんの合図で翼を仕舞う。ふわふわと緩やかに地面に足をつける。うん、なかなかいいチームプレーだ。
安心するのはまだ早くて、次々にほかの騎馬が襲いかかってくる。何故か騎馬戦なのに1人走ってくる障子くん。ここはひとまず距離を取ろうとした時、足の裏に何かブニブニとしたものがくっついた。これはたしか峰田くんの…
「一体どこから…」
「ここからだよ緑谷ぁ…」