第9章 目指せ頂点
「それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」
さて、誰と組もうか。私のポイントは4位だから195ポイントだ。チーム戦となればやっぱりお互いの個性を知っている人同士がいい。そしてできれば仲のいい人。周りはもう動き出している。考えている暇はあまりない。いろんな人の顔が浮かんでくる中で、ぱっとある人物が目に入る。そうだ、この人だ。
『デク、お茶子ちゃん、私も入れて…って大丈夫!?』
「~~~っ!!!」
「お、ちゃん!もちろんだよ!」
振り向きざまにすごい量の涙を撒き散らすデク。すごいな。水たまりができてるよ。お茶子ちゃんの体操服も心做しか濡れている。
「まで…僕超狙われると思うけど、ほ、本当にいいの!?」
『ばっちこい、だよ!その分気合いも入るし、仲いい人とやった方が良い!』
「デクくん、また不細工になってるよ」
『梅干しみたい』
そんなこんなでデクたちのチームに加わらせてもらう。デクは既にこのメンバーとあと一人で策を考えていて、その人を勧誘しに行こうと言った。目的の人を探しに行こうとした時、ふたつの声が重なって聞こえた。
「「、俺と組め/組もう」」
「ああ?」
「…爆豪」
シンクロ率100%だな、この2人。お互いを睨み合い、バチバチと火花を散らすかっちゃんと焦凍くん。
「今なんつったてめぇ。まさかこいつのことって呼んだんじゃねえだろうな?」
「この距離で今のが聞こえなかったのか?」
『あのっ、2人とも──』
「質問に質問で返してんじゃねえよ!なんでてめぇが勝手にの名前を呼んでんだ、ああっ!?」
『ごめん、私デクとお茶──』
「勝手にじゃねえよ。に許可はもらった。それに名前で呼ぼうが関係ねぇだろ」
「んだとコラァ!」
騎馬戦の前に謎の戦いが始まってしまった。私の声も全く届かず、いい争いを始める2人。後ろの方には既にかっちゃんと焦凍くんとチームを組んだ人がいて、呆れてため息をついている。ああ、そうだ、こうしている場合じゃない。早くもう一人勧誘しないといけないんだった。
『デク、お茶子ちゃん、行こう』
「ええっ!で、でも…」
『だって完全に2人の世界で、声掛けても届かないんだもん』