第9章 目指せ頂点
焦凍くんが仮想敵の動きを止めてくれたおかげで、先へ進める。そう思ったほかのクラスの人が焦凍くんのあとを追おうとする。でも、今行ったら…
「倒れるぞ」
« 1-A轟!攻略と妨害を一度に!こいつぁシヴィー!!…お?倒れた仮想敵んとこ、なんか見えるぞ?»
「……あれ?」
「い、痛くないぞ! 」
『大丈夫?』
«おおっと!1-A!自身の翼を大きく広げて他のやつを助けやがった!まさに天使だなあ、おいっ!!»
なんかいちいち実況されるとやりづらい。そして恥ずかしい。
パパとの特訓で少しずつ自分の個性について分かったことがある。1つは翼を最大5mくらいまで大きく出来ること。そして意外と強度が高く丈夫なこと。仮想敵の壊れた部品が翼に当たるけど、それほど痛みを感じない。痛覚が通っていないのか理由はよくわからないけど。でも、これなら防御する時に心強い。
「あの…ありがとう」
「すまねえ」
『ううん、大丈夫!』
さて、ここからどうするか。個性とはいえ体の一部なので、翼で飛び続けるのには体力の限界がある。本領を発揮しないまま終わるのは嫌だけど、先を見据えて体力を温存しておくのも大切だ。なるべくなら飛行に頼らず進みたい。
これが体育祭じゃなくて本物の敵なら、このまま見過ごして進むわけにはいかない。全ては無理でもせめて数体だけなら。
ターゲットを私にロックした仮想敵が、スピードをあげて接近してくる。そのまま正面向かって突進し、ギリギリのところで高く飛び、繊細そうな機械と機械の隙間を狙って羽を飛ばす。仮想敵はバチバチと火花を散らしてそのまま動かなくなった。
さて次はあのでかい仮想敵。どうやって倒そうか考えていると、後から大砲が飛んできた。
「チョロいですわ!」
『も、百ちゃん…素敵』
百ちゃんの大砲のおかげで仮想敵が次々と機能を停止していく。早く次に進もう。先頭を走っているであろう焦凍くんの姿はもう見えない。急がないと!…それにしてもデクが持ってたあれはなんだろう。
« 落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォール!!»
これは…さすがに飛んでいくしかなさそうだ。飯田くんもお茶子ちゃんも、あっという間に距離が離れていく。ここへ来てもかっちゃんや焦凍くんの姿が見えない。急げ。