第8章 つかの間の休息
ついに来てしまった昼休み。
「上鳴、学食行こーぜ」
「お、おう…悪ぃけど先行っててくれ」
「なんだ?なんかあんのか?」
「いや…そろそろ女子が俺宛に手作り弁当持ってきそうな気がしてよ」
「意味わかんね~先行ってんぞ」
切島が教室から出ていったのを見送ったあと、後ろを振り返る。案の定、は弁当を2つ机の上に出していて、その弁当をどうしようか考えていた。
「おう、。一緒に飯食おうぜ」
『上鳴くん…誘ってくれて嬉しい!良かったらこのお弁当食べてくれる?』
「えっ、いいのか?」
『うん…好きな人のために作ったんだけど、叶わない恋だったんだ……』
「の手作り弁当食わねぇやつなんかほっといて、俺にしとけよ」
『上鳴くん……』
「、いや………」
よし、これでいこう。脳内妄想バッチリだ。喉の調子を整えて、いざ、席を立つ。の元へ行こうとした時、廊下から大きな声が聞こえた。
「!」
『デク?』
「良かった、まだ教室にいたんだね」
そう言っての席へと急いで向かう緑谷。なんだ?麗日と飯田と学食行ったんじゃねーのか?思わずもう一度席に座り、と緑谷の様子を伺う。の席に行った緑谷は、2人にしか聞こえないような声のボリュームで話をしている。
「さっき、オールマイトが一緒にご飯食べようって誘ってくれたんだけど、も呼んできてって言われて…」
『あ、そうなの?良かった~これでやっとお弁当渡せるよ』
「そうだね…あ、僕が持つよ」
『ありがとう。じゃあこれよろしく』
ん?…え?み、みみ、緑谷っ!?その弁当は俺がもらおうとしてたんだけどっ!?一言二言話したあと、は緑谷に弁当の包みを渡した。はニコニコと嬉しそうに笑っている。相澤先生のために作った弁当なのに、本当はすげぇ辛いだろうに、無理して笑ってんのか、!!
…そうか。失恋したの気持ちを汲んで、緑谷がその弁当を食うつもりなんだな?そうだよな、せっかく作ったのにもったいねぇもんな。
緑谷、やるじゃねえかっ!ん?待てよ…のことそこまで気にかけてるってことは、緑谷、お前…