第8章 つかの間の休息
切島と瀬呂と体育祭について話していると、リュックから弁当を2つ取り出すの姿が見えた。はなんだか焦った様子でなにか悩んでいる。あの弁当2つとも食うつもりじゃねえよな。ってことは誰かに作ってきたってことか……つまり男か!?
大事そうに弁当の包みを抱え、教室を出ていった。俺は思わず席を立った。
「なんだよ上鳴」
「びっくりしたじゃねえか」
「ああ、えっと……わりぃ!俺ちょっと便所」
「……お、おう」
「なんだ、そんなに漏れそうだったのか?」
「いや知らねぇよ」
聞こえてんぞ瀬呂。いや、それよりもだ。どこいった?慌てて教室を出ての姿を探す。意外にもはすぐ見つかり、その姿は隣のクラスにあった。外から教室を覗き込み、誰かを探している様子だ。Bクラスに好きなやつでもいんのか?
「……AクラスのやつがBクラスになんか用?」
『あ、えっと…ちょっと人を探してて……』
「ふーん。誰?」
『いやぁ~その…』
教室から出てきたのは金髪の爽やかな見た目の男だった。ここからだと2人の会話は聞こえないが、は男を見て目をそらして慌てている。照れてんのか?はあいつが好きなのか?
『…えーっと、今いないみたいなんで、大丈夫ですっ!すみません!』
「………なんだ今の?」
「なにしてんの物間」
「別に」
やべぇ、がこっちに来る。いやそりゃそうか。すぐ隣だもんな。どうする、俺。キョロキョロと周りを見て、俺は慌てて男子トイレに逃げ込んだ。
「遅かったな上鳴」
「うんこか?」
「違ぇよ……はあ」
の弁当はまだ本人が持っている。どうやらさっきBクラスに目当てのやつはいなかったらしい。昼休みまであと休み時間はあと2回。いや、昼休みに渡しに行くことも考えられるか。とにかく、その間に絶対渡しに行くはずだ。が誰に弁当を作ってきたのかぜってぇ突き止めてやる。
終了を知らせるチャイムが鳴る。やっぱりはすぐに席を立ってまた教室から出ていった。陰からこっそりついていくと、何故か普通科の方へ向かっていった。