第7章 己の力を人命の為に
まずはこの水難ゾーンを乗り切るために、それぞれの個性について確認をする。梅雨ちゃんは蛙そのもので、跳躍したり、壁に張り付いたり、舌を20メートルほど伸ばしたりできる。デクのはもう知ってるけど諸刃の剣のような超パワー。あまり頻繁に使うことは出来ない。峰田くんは頭から球体をもぎりとり壁にくっつけて見せてくれた。謎の球体は壁に超くっついている。
「だから言ってんだろ!大人しく助けを待とうってよお!オイラの個性はバリバリ戦闘に不向きな~~~~」
「ちっ、違うってすごい個性だから活用法を考えて……」
「ちゃんは?」
『わ、私の個性は……空を飛ぶのと、羽を飛ばせるのと、翼で防御するのと……かな?』
泣きわめく峰田くんの言葉を梅雨ちゃんが遮り、自身の個性について改めて話す。デクは既に知ってるけど、治癒のことはあえて伏せておいた。まだ実際に使ったことがないので、自信を持ってできるとは言いきれない。
「はすごい個性を持ってるけど、今回は使わない方がいい」
『なんで?』
「さっきのやつが言ってた。翼を持つ少女の強奪って…それってのことだ。でも、ここにが飛ばされたってことは、あの手のやつ以外は翼を持つ少女が誰だか分かってないんだ。だから安易に敵に個性を見せない方がいい」
デクの言ってることは間違ってない。でも、彼らの目的が私なら、この事態は私のせいでもある。それなら尚更私が戦わないでどうする。
『確かにデクの言う通りだけど、私だって戦える。私だって戦いたい!』
「…」
船が大きく揺れる。敵が個性を使って船を破壊してきたのだ。4人で手を繋ぎ、倒れないように支え合う。敵の襲撃に混乱した峰田くんが球体をモギッて水中に投げ飛ばす。敵は警戒して触らないように避けている。
「敵が勝利を確信した時が大きなチャンス。昔情熱大陸でオールマイトが言ってたよ…勝つにはこれしかない。3人とも聞いて!」
デクの作戦に耳を傾ける。かなり大きな賭けだが、4人の個性を合わせて、この状況を打開するにはそれ以外方法は無さそうだ。デクが普段絶対口にしないようなセリフを吐きながら、水中に向かって高くジャンプする。
「ちゃん」
『うん、梅雨ちゃん…せーっのっ!!』