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君の涙【ヒロアカ】

第7章 己の力を人命の為に



 舌を飛ばして私とデクの体をぐるぐるに巻き付け、そのまま水面に向かって勢いよく泳ぎ進める。近くに停泊している船まで上げてもらい息を整える。せっかく借りたかっちゃんの体操服は水分を含み重さを増している。脱いで力いっぱい絞り、腰に巻き付ける。

 『げほっ…ありがとう梅雨ちゃん』
 「ありがとう蛙吹さん」
 「梅雨ちゃんと呼んで。しかし大変なことになったわね」

 服が濡れて動きづらい。コスチュームは水に濡れて体にぴたっとくっついている。ブーツの中にも水が入ってしまった。

 「……ないすっ!!」

 濡れた髪を絞っていると、鼻血を出した峰田くんにグッドサインを出された。なんのことだかわからず固まっていると、梅雨ちゃんが舌で峰田くんの頬をしばいた。

 デクと梅雨ちゃんと峰田くんと私の4人で現状について話し合う。虎視眈々と準備を進めていた敵連合。パパが来ても勝てる算段があるから敵連合はこんな無茶ができるのではないか、と梅雨ちゃんは話す。

 『…理由なんてわかんないけど、私たちが今出来ることをやろうよ!』
 「……の、言う通りだ。奴らに…オールマイトを倒す術があるんなら…僕らが今すべきことは戦って、阻止すること!」

 怖くない、なんて言ったら嘘だ。訓練の時とは違う。彼らは私たちを殺そうと本気でぶつかってくる。峰田くんが雄英ヒーローが助けに来るまで待とうと言っている。そのほうが得策なのかもしれないけど、このまま何もしないだなんて嫌だ。
 水の中で私たちの様子を見ている敵たちを見る。連中は明らかに水中戦を想定している。この施設の設計を把握した上で人員を集めていることになる。それにしてはおかしな点があるとデクは話した。

 「この水難ゾーンに蛙すっ…つっ梅雨……ちゃんが移動させられてるって点!つまり生徒の個性はわかってないんじゃない?」

 確かに蛙の個性を持つ梅雨ちゃんなら、この水難ゾーンは得意ステージになる。わざわざ敵が好都合で戦える場所に移動させる必要なんて無いはずだ。さすがデクだ。この短時間で敵のことを理解する力を持っている。

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