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君の涙【ヒロアカ】

第1章  もう1人の幼馴染



 そろそろ終わりにしようと一息つくと、1階の玄関の方で音がして、ただいまーと元気な声が聞こえた。お母さんが帰ってきたのだ。おかえり、と声をかけて部屋を片付ける。階段を降りて晩御飯の支度の手伝いをすれば、すぐお父さんも帰ってきた。

 「今日商店街の方で事件あったの知ってるか?」
 「知ってるわよ。敵はオールマイトが捕まえたみたいだけど、ここからそう遠くないし、怖いわねぇ」

 食卓を囲みながら世間話をするお父さんとお母さん。いつ切り出そうかとタイミングを見計らう。そう考えていると、無意識に顔に出ていたようで、お母さんが心配そうに口を開いた。

 「…どうしたの、。すごい顔よ」
 『ええっ!あ、えーっと…』

 聞くのは今しかないと思い、持ってたお箸と茶碗をゆっくりと置く。両手を膝の上に置き僅かな緊張で目線を落とす。そんな私を見てお父さんとお母さんは、何も言わず私の言葉をただ黙って待ってくれた。

 『……私の個性のことなんだけど』
 「っ、ああ」

 珍しい焦ったようなお父さんの声。やっぱり私の個性はタブーなのかもしれない。

 『ずっと内緒にしなさいって言われてて、お父さんもお母さんも、あまりに必死だったから守ってきたけど…やっぱりなんでか知りたいの。私も来年は高校生だし、理由は知っておくべきだと思う!』
 「……あなた」
 「ああ、そうだな。そろそろまた聞かれるんじゃないかとは思っていたんだ」

 重く息を吐いて腕組みをするお父さん。隣に座っているお母さんは不安そうにお父さんを見つめている。ついに真実を知ることができる。理由を知ることが出来れば、今後無個性だと嘘を貫き通すにも、幾分か気持ちが軽くなるはず。ゴクリと固唾を飲んでお父さんの言葉を待つ。

 「なぜ人に言ってはいけないものなのかと言うと、の個性は…個性を使うの姿がとてつもなく可愛いからだ!!」
 『…………ふぇ?』

 真剣な顔でビシッと私を指さすお父さん。あたかも決めゼリフのように言っているが、なんとも間抜けな答えに、なんとも間抜けな言葉しか出てこない。

 「いいか、。可愛いひとり娘の個性がこんなに美しいものなら、誰だって隠したくなるものだろう!白い翼を持つ娘なんて、天使以上に天使だ!!」
 『……はあ』

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