第5章 夢を追う覚悟
『また今度誰かと来たいな~』
そう呟いた。俺の表情が曇っていくのを気にせず、ニコニコと笑っている。今は誰のことを考えている?
「……爆豪と、か?」
『えっ?』
注文していたドリンクが運ばれてくる。はストローを弄りながら黙り続けた。否定はしないのか。つまり…
「その沈黙はイエスってことか」
『ええっ、違うよ!轟くんて冗談言うんだ~ってびっくりしただけで…』
「冗談なんて言ってねえぞ」
『え』
「と爆豪って付き合ってるんじゃねえのか?」
『はい?』
回りくどい聞き方が面倒くさくなりストレートに質問を投げかける。はキョトンとしたあと、あははと笑い出した。爆豪はただの幼馴染だと話す。その様子からして嘘ではなさそうだが、爆豪にとってはただの幼馴染なんだろうか。
でもが違うって言うんなら、俺にだって可能性はあるってことだ。
それから戦闘訓練でのことを謝った。今までに対して冷たい態度をとっていた自分が急に腹立たしくなる。素直に話すと何故かはありがとうと言った。礼を言われることをした覚えはない。それでも目の前で優しく笑うを見て、俺も自然と頬が緩んだ。
もっとのことを知りたくて、俺は立ち入ったことを質問した。簡単に聞いていいことではなかったと、の話を聞いて後悔した。少しだけと自分が重なったように見えて、それでも無理に笑おうとするが痛々しくて見ていられなかった。
「本当はすげぇ辛いんだろ。それなら無理して笑う必要なんてねえだろ」
そう言うとはボロボロと泣き始めた。今まで相当溜まってたんだろう。傍から見ると俺がを泣かしたみたいになってて、周りの客からの視線が痛かったが、今はに無理をさせたくない。だからが落ち着くまで黙って見守った。
『…ごめん。なんか、すごい迷惑…かけちゃったね』
目を真っ赤に腫らしたは眉を下げて笑っていた。それでも先程とは違う、無理矢理繕った笑顔ではなかった。