第5章 夢を追う覚悟
「、と言ったな。あれはお前の恋人か?」
「……そんなんじゃねえ」
「そうか、それならいい…お前はオールマイトを超えることだけを考えろ。下らんことは考えるな」
世間一般的にはそれを一目惚れと呼ぶだろう。でも実際には少し違う。
目に飛び込んできたのは真っ白な翼を広げた、まるで天使のような綺麗な姿。核兵器を回収できたことがそんなに嬉しいのか、俺に向かって無邪気にピースをする。
一瞬で、その美しい姿に、その無邪気な笑顔に釘付けになった。
一体どんなやつなのか話してみたい。そんな好奇心が出てきて、放課後に話しかけようと後ろを振り返る。そういえば、この前挨拶されたが素っ気なく返しちまった。もっとちゃんと話せばよかったと後悔する。
帰ろうと席を立ったはこちらの視線に気がついた。何を話そう。何から聞こう。そう考えた瞬間にほかの奴らがの周りを囲んで、俺は話しかけるタイミングを逃してしまった。
訓練の話で盛り上がる中で、突然爆豪がの手を取って教室を出ていった。何が起こったのか理解出来なくて、教室の中はしんと静まり返った。
「……ちゃんと爆豪ちゃんて恋人なのかしら?」
「ええっ?まじかよ!俺なんかショックだわ~」
「そうなの?」
「でも戦闘服を着たを見た時、爆豪めっちゃ焦ってたじゃん。もし自分の恋人があんなセクシーな服着てたら、怒るのも納得いくよね」
クラスのやつらの会話が嫌でも耳に入ってくる。そうか、あいつらそういう関係なのか。
「轟もう帰んの?」
「…ああ」
急に面白くなくなり、イライラしながら教室を出る。なんでこんなにイライラするのか。考えれば考えるほど頭の中に浮かんでくるのは、の顔だった。
土曜日。家にいたくなくてふらふらと適当に散歩する。歩いていると無意識に病院まで来ていた。顔の傷が疼く。早くこの場から離れようと思った時、が目の前に現れた。
これはチャンスだと思い、と話そうと適当な喫茶店に入る。はこの店の雰囲気を気に入ったらしく、周りをキョロキョロと見ている。