第4章 形から入る人
放課後。HRを終えて荷物を整理する。今日はなんだかとっても疲れた。ぐいーっと大きく伸びをしそのまま深呼吸をする。席を立って帰ろうとした時、ばちっと轟くんと目が合った。
『ん?』
「───」
「あっ、、ちょっと待った!もう帰るのか?」
なにか言おうとした轟くんが口を開いたと同時に、赤髪の男子生徒に呼び止められる。私の席まで来るとその男子生徒に続いて、数人のクラスメイトが、私の席を囲むように移動してきた。
『帰ろうかなって思ったけど、どうかした?』
「今から訓練の反省会しようぜってなってさ。なんかアツかったから話してみたくてよ!」
『そうなんだ!私は大丈夫なんだけど…』
今日の予定は特にないので、今後のためにも是非その反省会に参加したいのだが。チラッとかっちゃんを見ると、彼は自分の席に座ったままだった。今日から一緒に帰るって約束だったけど、かっちゃんも反省会にでるのだろうか。
「あ、俺切島鋭児郎。よろしくな!」
「私は芦戸三奈!」
「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」
「俺!砂藤」
「俺は上鳴電気」
『わっ、わっ!……えっと、です』
「………」
次々と自己紹介をされ一生懸命名前と顔を覚える。こんなにも話しかけてもらえるなんて、なんだか少し恥ずかしくもあり嬉しくもある。何か言いたそうだった轟くんは、クラスメイトに囲まれた私を見て黙って前を向いてしまった。
「すごかったよなあ。俺ビビったわ~」
「あんな個性初めて見たよ」
『全然すごくないよ。百ちゃんに言われたこととか、反省点沢山あるし』
「でもさんの個性自体はとても素晴らしいものですわ」
『っ、百ちゃんっ!!』
ツンデレではないが、厳しい助言を聞いたあとにそれを聞くと、百ちゃんが女神に見えて、思わず手を握ってしまった。百ちゃんは苦笑いを浮かべているが、私には関係ない。
「今度お茶しねぇ?何好き?」
『えっと…アイスとか、かな』
「へぇ~じゃあさ、今度一緒に──」
「どけ。帰るぞ」
『え、ちょっと、かっちゃん!?』