第4章 形から入る人
訓練の内容はヒーロー組と敵組のチームに分かれて、屋内戦を行うものだった。基礎を知るための実践。先生のカンペを使った説明を聞いた後、チーム分けのくじを引く。私が引いたのはBと書かれた丸いボール。ほかのチームメイトは大柄な男子生徒と席が右斜め前の男子生徒だ。
「ちなみにAクラスは奇数のため、1つだけ3人のチームができる!実践では人数も関係ないからな!不公平だと思わず挑むように」
チーム分けのくじのあとは最初の対戦相手のくじを引く。初っ端はAチームがヒーロー、Dチームが敵。デクとかっちゃんだ。
待機組はモニターで観察するため、モニタールームに移動することになった。訓練はもうすぐ始まる。自分が出る訳でもないのに、この緊張感はなんなんだろうか。そう行ってる間にも屋内対人戦闘訓練が始まった。かっちゃんはいきなりヒーロー組に奇襲をかけ、デクと1VS1の戦闘が始まった。
激しい接戦の中、勝利を掴んだのはヒーローチームだった。勝ったはずなのにデクとお茶子ちゃんはボロボロで、特に怪我がひどいデクはそのまま保健室へ運ばれた。
百ちゃんの的確すぎる講評を聞いたあと、ついに出番がやってきた。私たちのチームはヒーロー役で、対する敵役はIチームだ。
指定されたビルの前に立ち、敵チームが核兵器を設置するのを待つ。今のうちに自己紹介とか作戦とか話しておいた方がいいはず。割と口数が少ない2人に向けて勇気を出して口を開く。
『えっと…私は!』
「障子目蔵だ」
「……轟焦凍」
『2人ともよろしく!あの…今のうちに作戦とか──』
「必要ねえよ」
『………』
スパッと言い切ったのは轟くんだった。それはまるで私の力は必要ないと言われている気がして、びっくりしたのもあるけど悔しくて何も言い返すことが出来なかった。個性把握テストでも最下位で、ここでも私は役立たずのままなのか。
そしてその雰囲気のまま戦闘訓練の開始の合図が鳴る。ビルの入口で障子くんが6本の触手のような腕を広げて何かをし始めた。よく見ると腕の先端を耳に変形させて、その次に口に変形させた。
「4階北側の広間に1人。もう1人は同階のどこか…素足だな」
すごい。一瞬にして敵の状況が分かってしまうなんて。
『じゃあこのまま3人で向かう?』
「外出てろ。危ねぇから」