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君の涙【ヒロアカ】

第4章 形から入る人



 他のみんなと比べて受験した時期も遅かったため、個性届も戦闘服の要望も提出期限ギリギリだった。特に要望はなかったが、強いて言うなら肩甲骨あたりは空いている方が良い。個性を発揮する時に翼が服を貫通してしまうからだ。要望も時間もあまりなかったのでパパに相談すると、デザインとかは任せなさいと言ってくれたので、任せたのだが…勝手にオールマイトに似たデザインのものが出来上がってくると思っていたのに、これじゃあ露出度高めのただの私服だ。

 文句を言っていても仕方が無い。かなり抵抗はあるが、今はこれを着るしかない。ノースリーブで背中が広く開きすぎの真っ白のミニワンピース。デニールが低い黒タイツ。歩きやすい素材のこげ茶のショートブーツ。果たしてこの姿がヒーローに見えるのだろうか。そんな疑問を抱きながらグラウンドβへ急いだ。


 「始めようか、有精卵共!戦闘訓練のお時間だ!!」

 どうやら1番最後は私のようだ。なんだか最近、何もかもがビリッケツだ。そろそろ挽回しなくてはと拳を握って決心していると、目を大きく見開いたかっちゃんと目が合った。心做しかみんなの視線を感じるような気がする。

 「…っ、っ、こらてめぇっ!!」
 『うえええええっ!?』

 急に怖い顔をして近付いてきたかっちゃん。私が一体何をしたのだろうか。1人あわあわしていると顔を真っ赤にしたかっちゃんが、ビシッと人差し指を私に指して口を開いた。かっちゃんの指先が鼻をかすめる。

 「なんつー格好してんだ!ふざけんな、着替えてこいやっ!!!」
 『そんな事言われても、一応これが私の戦闘服で──』
 「うるせえっ!口答えすんなっ!!」
 『か、かっちゃん落ち着いて』
 「落ち着いてるわっ!お前らも見てんじゃねえっ!!!」

 ヒーローらしくない格好に怒る気持ちはわかるけど、何もそこまで怒らなくても。かっちゃんを宥めながら先生を見て助けを求める。私の視線に気がついた先生はニカッと笑いながら親指をグッと立てた。どういう意味だ。

 「……んんっ!爆豪少年、戦闘服も個性の1つ。気持ちはわかるが、そこら辺にしといてくれないか?」
 「…………チッ!」

 先生の言葉によってなんとかかっちゃんは落ち着いたけど、今のやりとりによってさらに視線を感じる。これ以上悪目立ちはしたくないのに、とかっちゃんを睨んだ。

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