第3章 そして、春
なんでがここにいる。
別のとこ受けたって噂では聞いてたが、雄英と併願したのか。もうひとつは滑り止めか。
ここにいるはずのない幼馴染の姿を見て、一気に頭が混乱する。デクも驚いているところを見ると、あいつも知らなかったらしい。それよりも無個性のはずなのに、どうやって合格したんだ。
質問攻めしようにも早速授業、というかテストが始まり、タイミングを見失う。後で絶対聞いてやろうと決めて、今はテストに集中することにした。
ずっとあいつのことを見てたが、これと言って個性らしい力を発揮している様子もねえ。立ち幅跳びのとき、少しだけ様子がおかしかったが、結果は平均を少し上回る程度だ。
最終結果の名前は1番下にあった。デクより低い最下位。中学までの体力テストなら好成績だろうが、個性を使った奴らと比べれば最下位なのは当然だ。
用を足して教室に戻ると、とデクが楽しそうに話していた。2人加わりそのまま4人で帰ろうとするを見て腹が立ち、リュックを鷲掴みしてそのまま引きずる。後ろでデク達が騒いでやがるが関係ねぇ。笑いながら手を振るも見てさらにイライラした。
逃げられねぇように壁に追い込み、1番気になっていたことを質問する。は戸惑いながらもゆっくり口を開いた。この1年間何があったか、話はすげえ長かったが、その分の聞こうと思ってたことも全部知ることができた。
噂であいつの家が事件に巻き込まれたことは知っていた。何度か会いに行こうと思ったが、今更俺が行ったところで何が出来るかわからなくて、結局何も出来ないままだった。そんな自分にさらに怒りを感じていた。
あいつも俺に話そうとしてくれたらしいが、俺が避けてたからずっと言えずにいたらしい。だから、俺もしぶしぶ謝罪をする。それなのにあいつは聞き直しやがって!!…まあ、それはいい。
事件後、暫くしては無事登校するようになったが、それから何故かデクと一緒にいるところを見ることが増えていった。廊下でも登下校の時も。楽しそうに話している。意味がわからねえ。なんでの隣にデクの野郎がいる!?