第2章 ラストJC
次に目を覚ましたのは病院だった。どれくらいの時間ここにいたのかわからないけど、体のあちこちにだるさを感じる。とりあえず上体を起こすと、カーテンの向こうから看護師さんが顔を出した。
「あっ、気がついたんですね!ちょっと待っててください!今呼んできますから」
『………』
こちらの返事も待たずに部屋を飛び出して言った看護師さん。今呼んでくるって誰を呼ぶのだろう。まだぼーっとする頭を覚醒させようと近くにあった水を飲む。ふぅっと息を吐くと、再び病室の扉が開いて、ドタドタと慌ただしい足音が2つ聞こえた。
「!気が付いたんだねっ!!」
『うん』
カーテンを開けたのはデクと金髪の男だった。色々聞きたいことはありすぎて、何から聞けばいいのかわからず、口を閉じてしまう。すると、それを察したのか、金髪の男が口を開いた。
「…少女、君はまる2日間寝ていたんだよ」
『そんなに…』
「怪我はしていないが、相当ショックが大きかったんだろう」
『あのっ、お父さんとお母さんは?』
金髪の男とデクを交互に見る。2人は気まずそうに目を合わせ、まるで言葉を選んでいるように見えた。
「……残念だが、病院に運ばれた時には君のお父さんはもう………お母さんは意識を取り戻して、安静にしている。今もこの病院にいるよ…だが……」
『…なんですか?』
「……言い難いことなんだが、お母さんは記憶障害になってしまったらしい」
『それってどういう…』
「つまり、今君に会っても、君のことは覚えていないんだ。辛いようだけど、君に伝えておく」
『………』
いろんなことが一気にありすぎて頭が追いつかない。ゆっくり視線を落とすと、また来るよと言ってデク達は病室をあとにした。
その翌日、私は退院することになった。というより無理を言って退院させてもらった。看護師さんには止められたけど、怪我はしていないのでここに長くいる必要は無い。どこに帰ればいいのかさえわからないけど、なんとなくここにいたくないのだ。
とりあえず病院を出ようと荷物を抱えて自動ドアを潜ると、目の前にデクと金髪の男がいた。
「、ど、どこに行くの?」
『……わからない』
「…少女、君に話があるんだ。来てくれるかい?」
『…はい』