第2章 ラストJC
金髪の男のあとをとぼとぼとついていく。どれくらい歩いたのかわからないが、気がつけば海浜公園にたどり着いていた。と言っても漂流してきた粗大ゴミやらで、あまり綺麗な場所とは言えない。人が近寄らないからこそ、人目を気にしないで話せる場所でもある。ゴミの山が大きな壁を作り、周りの人の視線も気にしなくて済む。
「早速本題に入るが、少女…私と住まないか?」
「ええっ!?」
『はい?』
というより今更だがこの金髪の男は誰なんだ。お父さんよりは若い…と思うけど、年齢はともかく、女子中学生に対してかなり問題のある発言だ。デクの知り合いなら悪い人ではなさそうだけど。
『……ちょっと何を言っているのか分からないんですが、そもそもあなたは誰ですか?』
「おっとこれは失礼。君にはまだ見せていなかったね」
「ちょっと、いいんですか?」
「問題ないっ!!」
ふんっと力を入れた金髪の男は、その姿をよく見知ったスーパーヒーローに姿を変えた。先程までとは全然違う、雰囲気というか画風にかなり迫力を感じる。
『え、ええっ!?あなたがオールマイトだったんですか?』
「はははは!そうとも!!」
『デクってオールマイトと友達だったの?』
「友達というかなんというか…まあ、いろいろあって……」
「緑谷少年のことも、私のこの姿のことも、君にはおいおい説明していく。その前に話を元に戻すよ」
話題とともに姿を元に戻したオールマイト。そういえば、私と住もうとかなんとか。人のことを言えないが、今にも倒れそうなこの人があのNO.1ヒーローだなんて信じられない。彼の口から垂れて見えるのは、明らかにヨダレではない。そっとハンカチを渡せば、ありがとうと言ってその布を真っ赤に染めた。
「さて、少女は自分の個性についてどこまで知っている?」
『……正直あんまりわかってないです。あ、デクごめん。私実は無個性じゃなくて…えっと…』
「ううん。全然気にしてないよ!確かに驚いたけど…」
「良ければ1度君の個性を見せてくれないか?」
『あ、はい』